注目の研究

【論文タイトル】
ジャワしょうが抽出物摂取の軽度認知障害に対する影響

【掲載論文】
Peprinted from Japanese Jounal of Complementary and
Alternative Medicine Vol.15,No.1,March,2018

【概要】
MoCA-J(Montreal Congnitive Assessment 日本語版)
の総合得点が26点以下(カットオフ値)の軽度認知障害の疑いのある
健常人7名を選びジャワしょうが抽出物を摂取させ試験を行ったところ
注意、記憶/遅延再生において有意な改善が見られた

ジャワしょうが抽出物摂取の軽度認知障害に対する影響

ジャワしょうがエキスの安全性試験の概要

ジャワしょうがは「ジャワしょうがについて」のページでもご紹介したように、昔から食べられてきた歴史があるため安全性は問題ないと考えられます。また、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所のWEBサイト中の「健康食品」の安全性・有効性情報の素材情報データベースの中にも記載されている食品素材にもなっています※1。
日本人にはまだなじみのない植物ですので、株式会社ホソダSHC様ではより安心して頂けるように、商品化しているジャワしょうがエキス粉末の安全性試験を実施し、その安全性を科学的な観点からも評価しております。これらのヒト安全性試験および動物試験のデータは、米国の権威ある化学雑誌であるACS Omegaにて査読され、掲載されています※2。

・急性毒性試験   ラットで最大2,000㎎/kg ※2
・亜急性同棲試験  ラットで最大1,000㎎/kg/day、90日間 ※2
・ヒト安全性試験  850㎎/day、28日間 ※2

※1 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所
※2 ACS Omega 3, 15879−15889 (2018)

生理活性に関する論文

ショウガ科フェノール化合物の神経栄養因子に対する調節効果と、脳疾患および加齢に伴う神経変性疾患における神経保護剤としての可能性: 総説

■タイトル
Modulating Effects of Zingiberaceae Phenolic Compounds on Neurotrophic Factors and Their Potential as Neuroprotectants in Brain Disorders and Age-Associated Neurodegenerative Disorders: A Review

■学術ジャーナル
Nutrients 15, 2564 (2023)

■論文公開日
2023.4.30

■概要

ショウガ科の植物には加齢に伴う神経変性疾患など、脳において重要な全身的生理活性を有する様々なフェノール化合物が含まれています。ニューロトロフィンは神経細胞を酸化ストレスから保護する成長因子であり、神経栄養系の調節不全は神経認知疾患につながる可能性があります。ショウガ科のフェノール化合物は伝統医学や補完医学(TCM)において、認知機能を改善するために用いられてきました。これらの化合物は神経栄養因子の発現に影響を与える可能性がありますが、その根底にある分子メカニズムの解明にはさらなる研究が必要となります。そのため、脳疾患および加齢に伴う神経変性疾患におけるショウガ科のフェノール化合物の発現と機能的役割を明らかにすることを本総説の目標としました。過去の研究ではこれら化合物の神経保護作用について様々なメカニズムが提唱されていますが、その正確な作用機序は依然として複雑で十分に解明されていません。いくつかの有望な発見にも関わらずこれらハーブの治療的使用にはまだ欠点があり、ショウガ科を含む現在の介入は臨床的に不十分であるように思われます。本総説ではいくつかのショウガ科植物由来のフェノール化合物と神経保護剤としての利用について要約し、ショウガ科の主要な植物から抽出された生理活性成分の神経保護効果について、エビデンスに基づいた初のレビューを提供することを目的としています。

ジャワしょうが(バングレ)のファイトケミカルと生理活性

ジャワしょうが(バングレ)由来成分の生理活性に関する論文について紹介します。

■タイトル
Phytochemicals and Bioactivities of Zingiber cassumunar Roxb

■学術ジャーナル
Molecules 26, 2377 (2021)

■論文公開日
2021.4.19

■概要
ジャワしょうが(ショウガ科)は、タイでは “Phlai”、インドネシアでは “Bangle”、中国では “Bulei “として知られる重要な薬用植物です。伝統的にこの植物は炎症、痛み、呼吸器疾患の治療に用いられてきました。フェニルブテノイド、クルクミノイド、エッセンシャルオイルなどの治療効果のある成分を含んでいるため、その根茎は薬用として使用されてきた主な部分になります。1970年代以降、伝統医学における利用をサポートする基本的な科学的根拠が確立するために、ジャワしょうがの植物由来成分(ファイトケミカル)と生理活性について多くの研究が行われてきました。ジャワしょうがのエキス、溶媒分画および成分に関する生物学的研究の蓄積により、抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん作用、神経保護/神経栄養作用、美容作用および抗真菌/抗菌作用などの多種多様な薬効が報告されています。本総説ではジャワしょうがの植物由来成分と、そのエキスおよび成分の生物活性に関する情報を要約します。

ジャワしょうがエキスの神経保護効果

海馬におけるLPS誘発神経細胞欠損とアストロサイト活性化に対するジャワしょうがエキスの神経保護効果

■タイトル
The Neuroprotective Effect of Zingiber cassumunar Roxb. Extract on LPS-Induced Neuronal Cell Loss and Astroglial Activation within the Hippocampus

■学術ジャーナル
Bio. Med. Research International Article ID 4259316 (2020)

■論文公開日
2020.5.27

概要

■概要
リポ多糖(LPS)の全身投与はアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の発症に重要な役割を果たす神経炎症を誘導することが知られています。本研究ではLPSによって誘発された海馬における神経細胞の損失およびアストロサイトのグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)の増加に対するジャワしょうが(Zingiber cassumunar:タイ語でPhlai)の保護効果を明らかにすることを目的としました。ウィスター系雄性成体ラットにLPS(250μg/kg/i.p.)を単回注射する前に、ジャワしょうがエキスをいくつかの濃度(50、100、200mg/kg 体重)で14日間経口投与しました。その結果、LPSを投与した動物は海馬において神経細胞の欠損とアストロサイトの活性化を示し、炎症性サイトカインであるインターロイキン1β(IL-1β)の増加もみられました。ジャワしょうがの摂取により海馬における神経細胞の欠損は顕著に減少しました。さらにジャワしょうがエキスを200mg/kg 体重の濃度で経口投与すると、海馬におけるGFAPおよびIL-1βの発現を低下させることにより、炎症反応を有意に抑制しました。これらのことより、ジャワしょうがエキスは神経炎症に伴う脳障害における神経保護素材として有用である可能性が示唆されました。しかし有効成分の同定や神経保護作用のメカニズムを検証するためにはさらなる研究が必要になります。